今回は『The Gardens Between』の感想を語っていく。
この作品はプレイヤーではなく、時間を操作するパズルADVゲーム。
デザインや世界観が評価され、数々の賞を受賞、ノミネートされている。
『良かったところ』『気になったところ』は客観的な評価について。
個人レビューは最後の『感想』にまとめているので最後まで見てくれると嬉しい。
あらすじ
少女Arinaと少年Frendtは親友同士。2人は幼い頃に毎日触れていたモノであふれる色鮮やかで夢のような島々に迷い込んでしまう。2人の友情や冒険を知るような穏やかな旅。
原因と結果が目に見える不思議な空間に迷いこんだ彼らは、時間がさまざまな方向に流れていると知ることになる。謎を解くために時間を操り、それぞれの島の頂上を目指す。2人が過ごしたかけがえのない瞬間を探検し、ひも解きながら一緒に進んでいく。
良かったところ
直感的に操作可能
覚えることはほぼ無いといってもいい。操作は直感的で、「右」、「左」、「決定」の3つのボタンですべての操作が行える。
何も操作していないと時間は止まったまま。「左」で時が戻り、「右」で時が動き出す。
時を操作して動くのはArinaとFrendtだけでない。ステージのオブジェクト全てが動くので、操作の単純さに比べて多くのパズル要素が入っている。
ランタンと鐘を使った謎解き
各ステージのクリア条件としては、Arinaの持つランタンの明かりを頂上の台座へ届けること。
しかし、ただ頂上に向かって歩けばいいだけではない。台座まで障害物や霧、明かりを吸い取ってしまう闇のようなものがあったりと、ランタンに明かりを灯したままでは進めない道も多くある。
そこで登場するのがFrendtの操作する鐘である。これは鳴らすとある特定のオブジェクトの時間のみを操作することができ、過去や未来を変えて、頂上にたどり着くことが可能になる。
このように、複数の時間軸を操作する、不思議な感覚を味わうことができる。
また、ArinaとFrendtが分かれて行動することもあり、より複雑なパズルを楽しむこともできる。
ノスタルジックな世界観
ステージ内のオブジェクトは1980~90年代くらいのノスタルジックなものが多いと感じた(ファミコンやビデオデッキ、ブラウン管テレビなど)。
登場人物やステージの作りを見ても、はっきりとした舞台設定(国など)が感じられない。自分のいる世界で過去にこんなことがあったのかもしれない…と思わせる作りになっているのではないか。
あと、ビデオデッキのテープが巻き戻る演出は今の子供が見て分かるかどうか疑問に思うところがあった。
気になったところ
ガッツリ謎解きしたい人には不向き
論理的思考力より観察力が大事なタイプのパズルである。動く時の中でランタンの明かりや障害物の動きを考えたりなど、閃きというよりは想像力、観察力が大事である。裏返せばパズルが苦手な人でも楽しめるゲームである。
また、パズルなら当然、試行錯誤が多くなる。しかしその度に時間の動くモーションが入るためもどかしいと感じる人も多いと思う。
会話などはない
ステージクリア後にショートムービーは流れるが、途中に会話やダイアログはない。想像力で思い出を補完していくのが楽しいゲームだと思う。
感想(ネタバレあり)
実績コンプリートは簡単な部類なので是非。全体としては3時間前後でエンディングに行くことが可能で、実績解除に1時間といったところである。
このゲーム制作者はインタビューの中で、ジブリを参考にしていると語っている。デザインもそうだが、思春期と成長、ファンタジーと現実が混ざり合っている雰囲気があり、確かにと思った。
全体のデザインや動きが非常によくできていて、2人の動きや動くオブジェクトひとつひとつを観察しても飽きないような出来である。ストーリーも少年少女の体験した思い出が等身大で描かれ、2人の信頼とちょうどいい距離感が表現されている。
パズル要素については、ボリュームは少なく、簡単な部類だと感じる。1ステージに1個、あって2個という感じである。しかし一部のパズルは難しいと感じるものもあり、時間の前後だけではなく「待つ」ということもクリアには大事である。
エンディングについて。
最後のステージクリア後、1分ちょっとのムービーが流れる。広がる景色はゲームが始まった最初の公園と同じで、ArinaとFrendtはハグしている。画面が引いていくとそこには2人の家があり、Frendtの家には「SOLD」の文字。それからFrendtは荷物の積まれた車に乗り込み、Arinaはそれに向かって手を振る。そしてタイトルが現れ、スタッフロールが流れ出す。
2人の家の間には思い出の小さな公園。「The Gardens Between」ってそういうことなのか、と思わず感動してしまった。ムービーは1分ちょっとと短い。一見あっけない別れに見えるかもしれないが、出会ってから別れるまでの思い出を辿ってからのこのエンディングはかなり切ない。
こんな人におすすめ
- ノスタルジックな雰囲気が好き。
- マイペースにパズルが解きたい。
- 時間を操作する、という感覚を体験したい。
製品情報
製品 | The Gardens Between |
開発・発売 | The Voxel Agents |
対応機種 | Switch、PS4、Steam(PC)、Xbox One、iOS |
発売日(最速) | 2018/9/20 |
価格 | 610円(iOS)、2050~2350円(その他) |
CERO | A(全年齢対象) |
推定クリア時間 | 3~4時間 |