今回は『Twelve Minutes』の感想を語っていく。
『気になったところ』『良かったところ』は客観的な評価について。
本音は最後の『感想』にまとめているので最後まで見てくれると嬉しい。
あらすじ
妻と2人きりで過ごすロマンチックな夕べのはずが、刑事が突如として部屋に押し入り悪夢へと変わる。刑事は妻が殺人犯だと言い、あなたを殴打して死に至らしめる…
気が付くと、あなたはドアを開けようとするその瞬間に戻っている。12分間のタイムループに閉じ込められてしまい、永遠にこの恐怖が続く運命となる。
何が起こるか知っていることを利用し、結果を変えて、ループから抜け出さなければ。
気になったところ
繰り返すにつれて、演出が面倒
これはループものなら仕方ないし、醍醐味でもある。前のループと同じ状況を作らないといけないことが多く、そこはほぼ作業。少し前からやり直させてほしいという気持ちもわかるが、ある程度ストーリーが進むと省略できる選択肢が多くなり、楽になってくるはずだ。
難しいエンディング
序盤は謎解きを楽しんでいたのだが、自分の過去を思い出した瞬間このゲームのテーマはガラッと変わる。そこには「あやまち」というスケールの大きなテーマが立ちはだかっている。
「考えさせられる」を超えて、もはや「哲学」である。
初見では解除困難な実績
このゲームを終えて一番思ったことである。どれも解除が難しい。できる選択肢を全て試して絵画や花瓶を絶えず観察していけば達成できるのだが、これはもうやりこみ要素並みの難易度である。
エンディングの実績としては『傾聴』、『孤独』、『心を込めて』、『続き』がある。『傾聴』は最初のループでのみ獲得可能、それ以外の3つは謎の空間(58分の世界)の中で、選択肢と時間経過で分岐する。これがまた攻略を見ないと難しい。
『続き』エンディングに行くと進行状況がリセットされるので最後に達成することを忘れ無いように。
最初は『孤独』エンドあたりが行きやすいのではないかと思う。
良かったところ
リアルさと緊張感
リアリティを大切にしている感じが伝わってくる。例えば、隣の部屋で隠れて電話や通気口を開けようとする時は、妻に気づかれないよう扉を閉める必要がある。実生活では当然な部分もしっかり作りこまれている。
また、時間制限の緊張感もある。このゲームの魅力の1つは「やることが多すぎる!」と感じてしまうことだ。警察が来るまでに証拠を集め、妻を納得させたり、新しい事実を探さなければいけない。これが楽しい。
何回かループする間に自分の動きが洗練されていることに気づくはずだ。
限られた場所、数多の選択肢
うまくいかなくとも次のループに行けば1からやり直せるのが心強い。このゲームはリビング、バスルーム、ベッドルーム、クローゼットと行けるところが限られており、決して広くはない。部屋の外に行こうにも、出た瞬間に強制的に次のループが始まってしまう。
しかし、とにかくいろいろ試せる。考え付いたことが大抵実行できるのはすごいと思った。通気口にキャンドルを入れておしゃれな空間にもできるし、全てのアイテムをトイレに流すこともできる。何の意味があるんだろうということができてしまう。結果的に意味はなかった。なんだかんだで、私は妻を2回殺害してしまった。
アパートの一室で起きているとは考えられない展開が楽しめる。
後半は詰将棋のよう
後半に差し掛かるとある程度、答えが導けてくる。数回ループして、人物の行動が分かってくると「こいつはこういう反応をするだろう…」と。それがハマった瞬間が一番楽しく、新しいヒントが見えてくるはずだ。
感想(ネタバレあり)
ざっくり人物紹介をしよう。
主人公(アーロン)
突然タイムループに巻き込まれる貧弱な男。
タイムループの謎を解き明かすため、妻の説得したり、警官のために罠を張ったり大忙し。
妻(サラ)
かなり短気な読書家。
気分を害されると部屋を出ていき、警察を引き連れて帰宅、アーロンまでも道連れにする女。
警察
弱点:電気、娘
このゲームを終えて一番驚いた出来事は、声優が豪華であるということだ。
主人公は『X-MEN』プロフェッサーX役のジェームズ・マカヴォイ。妻は『スター・ウォーズ』レイ役のデイジー・リドリー。そして極めつけは、刑事役のサム・ライミ版『スパイダーマン』グリーン・ゴブリン役のウィレム・デフォーである。
そうそうたる面々である。しかし、このゲームをやるうえでは全くと言っていいほど気が付かなかった。自然な素晴らしい演技だということもあるが、ほとんど字幕や選択肢を中心に見ていたからだ。
ストーリーについて。物語終盤に差し掛かると主人公のやらかしが明らかになってくる。その内容からするとハッピーエンドは無理だろうなと薄々思い始める。
父を殺してしまったと思い込み、塞ぎ込んでソファーに座り込んでいる妻に、本当は自分が殺したんだと打ち明けてみると、塞ぎ込んでいるのが嘘みたいに主人公をめちゃくちゃ責めてくる。何を言っても聞く耳なんて持たずに、後は警察が来て御用である。女性は怒らせるもんではない。
ストーリー終盤は、テーマが少々重すぎると感じた。1つや2つのエンドだけでは到底全貌が見えない。自分は全エンドを6時間で回収したが、それでもまだ分からない。ループの真相、58分の世界、複数のエンディング、これらは作品中では明確には描かれていない。どれが主人公の妄想なのか、いや、どれも主人公にとっては現実である。それを全て見て、全て体験してしまった我々がどう考えるかが「あやまち」に対する答えなのではないだろうか。無論、考えず忘れてしまってもいいと思う。
忘却をすることでのみ、本当の意味で時間の糸を落とし今まさにこの瞬間を生きているという体験に近付くことができる。
Twelve Minutes
物語のテーマとなる言葉。この言葉が理解できる日は来るのだろうか。
以上、お読みいただきありがとうございました。
製品情報
製品 | Twelve Minutes |
開発・販売 | Luis Antonio Annapurna Interactive |
対応機種 | Steam(PC)、Xbox One、Xbox Series X/S |
発売日 | 2021/8/20 |
CERO | --- |
クリア時間 | 6時間 |